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アイメイト(盲導犬)のお話 10月10日は東京オリンピックを記念して『体育の日』でした。それと同時に『目の日』でもあります。どうして目の日か解りますか?“10”を横にして並べてみてください。かわいいおメメになるでしょう。1957年に塩屋賢一先生が日本で第一号の盲導犬チャンピーを誕生させました。その塩屋先生のアイメイト協会(東京練馬区)では、盲導犬のことをアイメイトと呼んでいます。アイはI・私、アイはEYE・目、アイは愛・LOVEです。アイメイトは「私の 愛する目の仲間」・・・視覚障害者の、やさしく頼もしいパートナーを意味しています。我が家の仔犬たちもこの日本で一番多くの盲導犬を育成してきたアイメイト協会からやってきました。 候補犬は、生後2か月になると繁殖を受け持つ奉仕家庭から、飼育奉仕の家庭に預けられます。子どもやお年寄りなどが一緒に暮らしている家庭の一員として、たっぷりと愛情を注がれて、様々な経験をしながら情緒の安定した成犬に育てられます。ですから犬や猫などのペットのいる家庭では飼育奉仕はできません。また将来視覚障害者のパートナーとして働くために、いろいろとペットとは違った約束事があります。仔犬の頃から家の中で家族と一緒に生活をする・ボール遊びをしない・決められた食事以外は与えない・散歩の途中で犬や猫に出会った時に遊ばせたり匂いをかがせたりしない・わがままにしない・・・などなどです。家族が食事をしているときに、よだれをぽたぽた出しながら欲しそうに近寄って来ると「お母さん、あんなに欲しそうにしているからちょっとだけあげてもいい?」とよく子ども達に頼まれましたが、そこは鬼になって与えないようにしなければなりません。しばらく頑張れば、仔犬も納得してせがまなくなりなります。食卓の近くでおりこうさんに、家族の食事が終わるのを待てるようになりました。車に乗せて家族旅行にも行きました。時には診察室で過ごすこともあり、患者さん親子に遊んでいただきました。 そうして家族の一員としてとてもいい感じになった頃(約1年後)にアイメイト協会に帰る日がやってきます。協会に帰ったのちは、二度と会うことはかないません。また、どこでどんな方と一緒に暮らしているのかも知らされないことになっています。それを思うと涙があふれて止まりませんでした。でもすぐに次の候補犬が決まり、感傷に浸る間もなくまた忙しく仔犬のお世話が始まるのです。 「飼育奉仕」とはいっても奉仕をしたというよりも、奉仕をさせていただいたという気持ちです。飼育奉仕の中で、私たち親子はたくさん笑って、たくさん歩いて、たくさん楽しませていただきました。大事な候補犬を託していただけたことに心から感謝しています。
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