佐藤小児科医院 電話042-441-2772 調布市西つつじヶ丘1-57-94
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はじめに

コラム

『育』 その2

 3月は小鳥も子どもも(ついでに大人も)巣立ちのチャンスです。保育園・幼稚園・小学校・・・。いろいろな場でそれぞれの出発のドラマがしんみりとそしてわくわくと繰り広げられます。
 三鷹・調布にはシジュウカラがあちらこちらに巣づくりをしています。運が良ければ春の晴れた朝に巣立ちに出会うことが出来ます。卵から雛が生まれると親鳥は休むことなく餌を運んで雛を甲斐甲斐しくお世話します。雛が大きくなって、そろそろ巣立ちが近くなると雛の体を軽くして雛が飛び立ちやすいように、またお腹がすいて餌を必死に探せるようにと、親鳥は徐々に餌の運びを少なくしていきます。そうして準備が整うと巣立ちの朝の始まりです。親鳥は巣の外側から一生懸命ツツピー・ツツピーと鳴いて雛に飛び立つように声をかけ続けます。雛たちは何度も何度も巣穴から顔を出したり引っ込めたりしながら一羽また一羽と巣立っていきます。その後しばらく(2〜4週間)親鳥と行動を共にした後に、本格的に独り立ちしてシジュウカラの群れの中へと旅立っていきます。雛が卵の殻を自分の力で破って生まれてくるときにも、卵の外から良かれと思って手伝って殻を破いてあげたりするとその雛は死んでしまうそうです。

 シジュウカラの巣立ちを通して皆さんはどんなことを感じましたか?

 小さな子どもたちがそれぞれの段階で小さな巣立ちのチャンスを迎える時に、親としてどんな準備をしてあげましょうか?脱いだ洋服をきちんとたたむ・明日のカバンの用意をしてからお休みなさい・朝は目覚まし時計で自分で起きる・朝起きたら自分でその日の洋服を決めて身支度する・自分の使った食器を台所に運ぶ・お弁当箱を鞄から出して台所に運ぶ・靴は脱いだら揃える・・・どれも小さな事ばかりですが子どもたちの段階を見て、始めは一緒にやってあげても最後はきちんと身に着く所まで見守ってあげましょう。親にとっても根気のいる大事な仕事です。
 幼稚園を卒業して制服がなくなったのを機会に、朝の身支度を自分ですることを息子たちと約束しました。タンスの引き出しには靴下とかパンツとか名札をつけました。衣替えは季節に合わせて私がやっておきました。ある朝、息子が窓から腕まくりをした手を出して一生懸命振っていました。何をしているのか尋ねたところ「朝起きたら今日は寒いか暖かいかいつもこうやって調べてから洋服を決めているんだ。」と言いました。時には色の組み合わせや素材の組み合わせがおかしなこともあるのでアドバイスをすることもありますが「僕はこれでいいと思う」と言う時は、本人が決めたようにしました。たかが身仕度を自分でするだけのことですが子どもなりにいろいろな事に工夫をしたり学んだりしたと思います。私も子どもとのやり取りをとても楽しみました。
 親が子どもの世話をすることは喜びですが、いい頃合いを見極めて最後の巣立ちに備えて小さな巣立ちを子どもたちにプレゼントし続けていくことも喜びです。春に向かって土の中の草花が大きく伸びようとしています。子どもたちのステップアップに負けないように私たちも親として、大人としてちいさなステップアップにチャレンジしていきましょう。

長男は中学生に
次男は小学4年生に
ネモフィラは盲導犬協会に巣立つ時の記念写真
 
 


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