佐藤小児科医院 電話042-441-2772 調布市西つつじヶ丘1-57-94
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はじめに

コラム

『育』 その4

 5月の大型連休をいかがお過ごしでしたか?
 子育て真っ最中の頃を思い出すと、(今度の大きなお休みには子ども達にどんな計画を用意しようか)といつも考えていたと思います。開業医ですから、夏休みや冬休みでも、そんなに長いお休みは取れませんし、休日当番医や予防接種の当番、保育園の仕事など自由にならない仕事も数多くありました。でも子ども達の喜ぶ顔を見たさに仕事の合間をぬって春休みや夏休みには海や山へと出かけて行きました。
 6年前にオリンピア保育園から講演を頼まれて「子供たちへのプレゼント」という題でお話をしたことがあります。その準備に自分の子どもも含めて、すでに20代になった子供たちに、 (物に限りませんが、子どもの頃に特に記憶に残っているうれしかった贈り物とか心象風景にはどんなものがありますか?) というアンケートに答えてもらいました。すると驚いたことに家族旅行を上げた子どもは一人もおりませんでした。地域の花火大会におじいちゃんやおばあちゃんと一緒に行った時のこと、近所の公園でお父さんと友達とみんなでサッカーをして遊んだ光景、自宅の庭の砂場や畑で近所の友達と遊んだ思い出…など日常の生活の穏やかでありふれた光景が楽しかった思い出としてどの子どもの中にも焼き付いていました。そういえば、寝かしつけた息子が夢を見て楽しそうに声をたてて笑うことが時々ありましたが、その日は近くの公園で親子でたっぷりと遊んだり、いとこたちがやって来て一緒に遊んだり、近所のお友達と夢中になって水遊びをして遊んだ日の夜でした。夏休みには毎年4泊5日で海に行きましが、家に帰ると子ども達はいつも「わーい!うちにかえったぞー」と歓声を上げながら、居間に飛び込んでいきました。皆様のお子さんは、いかがですか?
  最近の子ども達の生活を垣間見ると、幼稚園や学校は行事行事の連続、家に帰るとすぐおけいこに行き、そしてその合間に旅行や行楽地へのお出かけと落ち着く暇がありません。電車の中で向かいの席に座った親子の子どもの表情を見ると疲れていてちっとも楽しそうに見えないこともしばしばです。家庭から一歩踏み出すと何かとせわしい今日この頃の環境です。子ども達は結構イベント続きの毎日に心も体も疲れています。時には遠くへお出かけも良いのですが、子ども達の一番安心できる大好きな家庭で、ゆったりと親子の交流をする機会も用意していただけたらと願います。心のこもったそして何気ない毎日の生活の中に私達は心のふるさとを感じるのかもしれません。そしてその心のふるさとが将来困難にぶつかったときに大きな支えになることと思います。
 お子さん達が成人しましたら何かの折に、子ども時代の楽しかった思い出を聞いてみてください。どんなことが心に残る思い出になっているのか楽しみですね。

近所のおばあちゃんの畑で
いとこの貴和子ちゃんと長男
水遊びをしていると近所のお姉さん
たちが自然に集まってきます。

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