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私が病院にかかる時 私は子どもの時から体育は得意でしたが、体は丈夫な方ではありませんでした。どちらかというと疲れやすく、風邪をひいたりお腹かが痛くなったりして時々学校を休むこともありました。医師になってからも内科・耳鼻科・外科・整形外科などの先生にお世話になることもしばしばあります。今回は私が患者になった時に心がけている三つの事をお話ししてみたいと思います。 まず第一に、可能な限り(仕事もあるのでなかなか調整が難しいのですが)朝一番か午後の診療の一番を目指して受診します。早い時間帯でしたら、先生もスタッフも元気ですし患者さんもつかえていませんから時間的な余裕もあります。診察の上、もし検査や他科の受診が必要になった時にもスムースに事が進みます。大学病院でしたらその日の内に検査が出来て、結果も出る事があります。私のクリニックにおいでになる方で、一番最後の順番を狙っていつも終了直前に来院される方がたまにあります。“その心”までは分かりませんが、「出来る事ならもう少し時間のゆとりを持って受診するほうがより良い診療になりますよ」とお話しています。開業医の場合も大学病院の先生方の場合も、時には午前や午後の診療の後に研修会や公務あるいは手術の予定が入っている事があります。そんな時には仕方なく簡単に診察を終わらせてしまうこともあるからです。 次に心がけていることは自分なりに病気の経過をまとめて書いたものを先生用と自分用の2部用意する事です。特に大きな病院を受診する時には、経過が長くても自分の健康状態を出来るだけすっきり把握していただけるように時間の経過を追ってまとめていきます。そして自分がどんなことに困って、あるいは心配をして受診に至ったかの気持ちも書き添えます。さらに文章の最後には、「どうぞよろしくお願いいたします。」の一言も忘れません。近年、医療の崩壊が叫ばれていますが、患者さんとお医者さんの間の人間関係の根本となる(尊重し合う)といった事の崩壊も一因していると思います。医療保険制度が改正に次ぐ改正で病院の経営が大変になっていき、患者さんの事をいつしか「患者さま」とお呼びするようになりました。そしてお医者さんの事を「医者」と呼び捨てするような風潮が見られるようになっています。私の個人的な意見ですが、どのような仕事であろうとお互いさまなのですから「患者さん」と「お医者さん」の関係が良いのではないかと思います。これからお世話になるにあたって、気持ちとして「どうぞよろしくお願いいたします。」を付けずにはいられません。 最後に心がけていることは、その後の経過を報告する事です。今年に入ってから両膝の故障に悩みました。開業医の先生や某大学病院の膝の専門の先生にも診て頂きましたが、治療につながるアドバイスもなくどうしたものかと悩んだ末に都内の膝疾患で有名な某大学病院を受診して、本当に丁寧な診察とアドバイスをいただきました。毎日実行していくうちに普通に歩いたり運動したりできるようになりました。そこで、2ヶ月後の8月に御報告も兼ねて、もう一度その先生の診察に伺いました。もちろん先生も喜んでくださいました。そして今後の受診のタイミングとか今後の膝との付き合い方なども教えてくださいました。私のクリニックから 経過が思わしくなくて大きな病院に紹介する事もしばしばあります。大きな病院に受診して大変な状況にあるにもかかわらず、患者さんのお母さんから、「検査の結果、入院になりました」とか「お陰さまできょう退院になりました」とか御報告を下さると私どもも安心できますし、ある意味でとてもうれしい気持ちになります。そして私どもと患者さんの距離がいっぺんに縮まります。先日、ワクチンを接種した後に、顔色が悪くなり冷や汗のでた患者さんがおりました。幸い事なきを得て回復しましたが、翌朝受付にお母さんから「昨日は御心配をおかけしました。家に帰ってからも元気で、今朝も普通に起きて幼稚園に行きました。先生によろしくお伝えください。」との電話が入りました。かかりつけ医としては、こういった患者さんのお電話が何よりの喜びになります。もちろんうまくいかなかった時、例えば「今日受診の予定でしたが、夜にひきつけてしまい、○○病院に入院しました」などの報告もかかりつけ医としてはありがたいです。状況が把握できていればその後に何かお役に立てることもでてくるかもしれませんので。
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