佐藤小児科医院 電話042-441-2772 調布市西つつじヶ丘1-57-94
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コラム

    災後・・・これから

 東日本大震災から50日ほど経過しました。直接の被災地はまだまだ大変な困難の中にありますが、調布市では計画停電も落ち着き、日常生活がほぼ平常に営まれています。悲しい2011年の春ですが、満開の桜に祝福され新1年生が元気にスタートして、私たち大人も復興に向けての元気をもらいました。

 新聞やテレビの特集で「復興構想」が多方面から議論され始めました。しかし福島の原発事故の影響をうけている地域だけは「復興」という展望さえもがいまだに描けないでおります。そればかりか現在も極めて深刻で予断が許されない状況にあります。子ども達や母体の放射線被爆問題は、私たち小児科医にとっても今後の大きな課題となり、各地で研修会や緊急フォーラムなどが開催されています。放射線は直接私たちの目に見えず、臭いもなく、痛くも痒くもないので実感がわきにくいかもしれませんが、少量の線量が蓄積してから傷害あらわれるので子ども達の健康を守るためにも正しい知識を持って対処していく事が大切と思います。国立成育医療センター研究所の原田正平先生が医療監修されている「子ども健康倶楽部」のサイトはお薦めです。順次更新されて新しい知見が得られますので、時々アクセスしてみましょう。

 また、先月のコラムでも触れましたが直接の被災地でなくても(当院の患者さんにも)頻発する余震やテレビの報道、大人たちの会話の影響を受けてPTSD(心的外傷後ストレス障害)を起こしていると思われるお子さんがいらっしゃいます。PTSDを知ってもらい障害を起こさない事を願って、お子さんと一緒に読める絵本がネット上に公開されています。何となく心と体の硬直感や停滞感を感じている私にも役に立ちました。参考にして下さい。「震災後の心のケアに役立つ本&『世界はどうなっちゃうの?』無料サンプル

 私が子育て中の1980年〜1995年頃は日本の物質的な豊かさが急速に充足された時代だったと思います。その代償として、知らず知らずに豊かな自然が破壊され、物やお金が私たちの心の中の価値観に侵入し「本当の豊かさ」とは違う方向に進んでしまったのではないかとも思います。当時地域のお母さん達と(緑の地球を子ども達へ!)といったスローガンを掲げて、環境保全の草の根運動に参加したり、日常生活もずっとエコに心がけて(ケチとか節約ではなくエコです!)来ました。しかし時代はもっと豊かに、もっと便利にを急速に求めていきました。その豊かさと便利さを支えていた一つが電気です。この度の大震災で、電気のありがたさを再認識し、その電気の大半を供給してくれた原子力発電の危うさも経験しました。原子力発電に代わる安全で安心で、自然と共存できるエネルギーが、この先得られないのならば、私は次代の子ども達のために物質的な豊かさや便利さと決別する覚悟をしています。いずれにしても子育て中のお父さんやお母さんには今からエコやロハス(健康と環境問題を意識したライフスタイル)に目覚めていただいて、日々子ども達と一緒に実践していただきたいと願います。

   
 上賀茂神社のしだれ桜  桜草
京都市金谷病院 神谷康隆先生の作品。 
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