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星の王子さま 再び ふと先日、サン=テグジュペリの「星の王子さま」を思い出し、久し振りに読んでみました。読者のみなさんにはそれぞれに好きな場面がいろいろあることと思いますが、私は何度読んでも21章のキツネとの出会いのところに自分の気持ちがぴったりと重なります。 その他にも、「キツネにとってなんにも感じないばかりか、見ると気がふさぐような麦ばたけが、星の王子さまと仲良しになってからは、その金色の麦をみるたびに(金色の髪の)王子さまを思い出してすばらしいものにみえてくるし、麦を吹く風の音もうれしくかんじる。」 とか、「王子さまが午後4時にやってくるとすると、おれ、3時には、もう、うれしくなりだすというものだ。そして時刻がたつにつれて、おれはうれしくなるだろう。4時には、もう、おちおちしていられなくなって、おれは、幸福のありがたさを身にしみて思う。」 などなど。 子ども達が四六時中、私の周りにまとわりついていた頃、「目には見えないけれど大事なことはいろいろあるよ。本当に大事なことは、目に見えないんだよ。」としばしばつぶやいていたことを思い出します。子どもが10歳の誕生日をむかえ、お祝いも済んで寝静まった夜でした。私はある計算をしました。 365日×3回×10年=10950回 10歳になるまで約一万回の食事のお世話を続けてきたのだ、続けてこられたのだとちょっと立ち止まって自分をねぎらった事も思い出しました。でもこうしてめんどうを見てきたからこそ、とても大切だという気持ちが湧き上がるし、単調な繰り返しの毎日でも、麦畑や麦を吹く風の音(子育て中に時々訪れたうれしい瞬間)で幸せな気持ちを呼びさましながら過ごしてこれたかなと懐かしく思うのです。それぞれが自立して暮らしている子ども達ですが、年に数回は帰ってきます。私は、3日も4日も前から、お天気を見ては子どもの布団を毎日のように干します。きつねさんのように、帰ってくるまでの待つ間もしみじみと幸せのありがたさを感じるのです。 |
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