佐藤小児科医院 電話042-441-2772 調布市西つつじヶ丘1-57-94
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コラム

    飼育の楽しさ

 春から初夏にかけて自然界では様々な生き物が盛んに活動を始めます。アリ、ダンゴ虫、ミミズ、オタマジャクシ、カエル、カタツムリ、ザリガニ・・・
子ども達と一緒に観察や飼育をした事は今でも楽しい思い出として心に残っています。 虫籠の中でたくさんの生き物を飼育しました。今ならば
アリを観察したいと思えばネットで検索するとその道の名人が飼育の方法等を詳しく公開していますが、当時は情報も少なく失敗しては次の手を
考え、うまくいけば一緒に喜んで、知識がない分発見もたくさんあったかもしれません。まして親の私は自然に恵まれた田舎育ちで、いつでもどこに
でも生き物たちがいたため、わざわざ飼育するような経験はありませんでした。子ども達と一緒に飼育するのが初めての経験で、とても新鮮な気分でした。
 中でもアゲハを幼虫から育てて、さなぎとなり、羽化して我が家から飛び立っていった時の感動は特別です。庭の山椒の木に黒い小さなアゲハの
幼虫を見つけました。そこで紙箱の中央に花瓶を置いて(ウンチが枝の下に落ちるので)幼虫のいる枝を育てました。モリモリと山椒の葉っぱを食べる
ので、時々新しい枝を補給してあげます。幼虫は4回脱皮を繰り返し突然あの緑色のいもいも幼虫に変身しました。その後ますます食欲旺盛になり
モリモリと葉を食べて、ある朝下痢のような便をしました。すると木の枝から離れてさなぎになる場所を探して大移動を始めたのです。行方不明になった幼虫を部屋中探したところ、出窓の木枠の所でさなぎになっていました。それから1週間から10日後、さなぎの色が変わってきました。中で何か動いているのが見えました。ずっと観察を続けると、さなぎが割れてくちゃくちゃのキアゲハが誕生しました。生まれた直後は羽が濡れているのでしばらく乾くまでじっとしていましたが、羽が乾くとふわりと、明るい庭に向かって飛び立っていきました。思わずみんなで拍手!!本当に感動しました。あの感動が忘れられずその後もパセリやゆずの枝にアゲハの幼虫を見つけては飼育をしました。一番難しいのは、幼虫が夜の間に大移動をして、さなぎになった場所を見つけることでした。時には見失ってしまう事もありました。みんなで考えて、幼虫が下痢便をしたのを見つけたら、紙箱を大きくし、菜箸で紙箱の四方と天井にさなぎをつくれる場所を用意し、遠くに行かないようにざっくりとラップで覆ってみました。すると翌朝、作戦が大成功して菜箸の一本にさなぎを作っていました。そのさなぎのついた菜箸を倒れないように花瓶に挿して、食卓に置いてアゲハの誕生を毎日楽しみに待ったのです。

 カブトムシの幼虫も育てました。成虫になったカブトムシを飼った時には虫籠の中でおとなしくしていたのですが、さなぎから孵ったばかりのカブトムシはなぜか飛びたくて飛びたくて虫籠に激突するのです。かわいそうになり部屋に放してあげました。それでも今度は部屋の天井や壁に激突するのであまりのすごさに見ていられず、その日の夜に近くの雑木林に放してあげた思い出もあります。
 地域の運動会でドジョウのつかみ取りがあり、息子の捕まえた一匹のドジョウがやってきました。ドジョウに(カントリー)と名前を付けて飼いました。カントリーは1年以上も長生きしました。長生きはしたものの今振り返ると水槽に一人ぼっちできっと寂しかったことでしょう。夏休みに山で捕まえてきた沢ガニも飼いました。大きな池の形をした水槽に入れてあげました。沢ガニたちは、直角の壁もへいきで登ってしまい、夜の間に水槽から逃げ出し、ゴキブリホイホイに捕まっていました。何とか助けてあげたいと頑張ったのですが、強い粘着力に負けてとうとう死んでしまいました。次の犠牲者が出るとかわいそうなので川に放してあげることにしました。その他親鳥に見捨てられ巣から落とされたヒヨドリの雛、オタマジャクシ、カタツムリ、カマキリ・・などたくさんの生き物と係わり、いろいろな感動を親子で経験しました。
 飼育する中には、誕生の喜びもありますが死の哀しみもあります。生き物を大自然の中から狭い空間に押し込めてしまった責任もあります。その責任の重さや命の輝きを飼育することで学ばせていただいたことに改めて感謝の想いが湧きあがります。たくさんの生き物さん、ありがとうございました。

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