佐藤小児科医院 電話042-441-2772 調布市西つつじヶ丘1-57-94
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コラム

 楽しみの種まき

暑い夏が終わると、実りの秋を迎えます。それと同時に夏の暑さに疲れた植物を手入れし、土を耕し、来年の春に向けて、種も蒔きます。春になったら思いがけないところから芽が伸びて喜びもひとしおです。その喜びを胸いっぱいに膨らませて、土を耕し種をまきます。

 一般的に、親は自分の子供時代のいろいろな経験や思いを通して、(だから子ども達にはこうしてあげたい)といった願いを込めて習い事を選択していることが多いと思います。私の子供時代には習い事の種類も少なく、当時の日本の生活レベルからすると贅沢なことでもありました。私は3人姉妹の真ん中です。長女の姉には大きな期待がかけられていて、姉は、習字、モダンバレー、お琴、学習塾など忙しい毎日を過ごしていました。私も姉と同じ年になったら習わせてもらえるものと楽しみにしていましたが、(理由はわかりませんが)習字と学習塾に行かせてもらえただけでした。子供の時に楽しみの種をたくさん蒔いてもらった姉は、今でも趣味が多彩で、しかも子供時代に積み重ねた練習も奏効してなんでも上達が速いようです。
 息子たちには、幼稚園時代にはお絵かき教室・体操教室・スイミング、小学校時代はピアノ・スイミング・習字に行かせてみましたが、兄弟ともピアノはほとんど興味がなく上達することなくやめることになりました。お絵かきは喜んで通っていました。時には「兄弟で絵かきになろうぜ!!」などと言いながらお炬燵で夢中に絵を描いていた姿を思い出します。習字は兄弟ともに同じ先生に教えていただいたのですが、長男は真面目に取り組めた様子ですが次男はいまひとつでした。高校生の時に長男は選択科目でも書道を選び筆と墨の世界を楽しんだ様子でした。私は、海やプールで泳ぐのが好きだったので子供たちが2歳くらいの頃からよく泳ぎに連れて行きました。親子で水に親しんだお陰か、4歳でスイミングに入る頃には、既に泳ぎの大好きな子ども達になっていました。今でも2人にとって海は大切な友達になっています。仕事の傍らにライフセーバーとしてのボランティアや臨海学校の水泳指導員、サーフィンと海での楽しみは尽きない様子です。お稽古ではありませんが、ボーイスカウトの活動は親子で熱心に取り組みました。始めた頃は渋々と行っていましたが、初めて夏のキャンプに参加したあとは、「次のカブスカウトはいつ?」と聞いてくる位すっかりその世界に魅了されてしまいました。振り返ってみると、子供が小さい時は、こうしたお稽古は、親子で取り組むと学ぶ楽しみも喜びも何倍となり、逆に何らかの壁にぶつかった時には、乗り越える力が湧くのではないかと思います。せっかく始めたお稽古を子供たちが楽しみの種として残せなかったものは、親としてのサポート不足もあったと反省しています。
  十年ほど前に、小中学生の通うお習字教室にしばらく通ったことがありました。そこで見た光景なのですが、午後7時頃、ある4年生ぐらいの女の子が髪を濡らしたままお習字にきました。スイミングに行ってから来たようです。何枚かつまならそうに字を書いたところで、お母さんが迎えに来ました。午後8時に歯医者さんの予約が入っているのでこれから行くそうです。今の子供たちの中には、こんなにせかせかした毎日を強いられている子もいるのかと胸がつまりました。せっかくのお稽古ですから、十二分に楽しんで、長い一生の楽しみの種まきになるように、親として考えて欲しいと思いました。
東日本大震災で津波に襲われ地盤沈下して湿地となっ た水田跡に、
準絶滅危惧種のミズアオイが咲き乱れて いるそうです。津波で土が
かき乱されて地中に眠って いた種が芽吹いたと見られるそうです。
楽しみの種まきをしましょう。いつか綺麗な花が咲きます
 


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